日本の指輪

鎖国を解いて海外からの文化がどっと流れ込むまでは日本には「指輪」の文化は長く失われていました。
江戸時代以前で指輪を多く見ることができるのはなんと古墳時代。
当時は祭祀をつかさどる人や身分の高い人の地位を表わす装身具として使われていました。
その後聖徳太子が冠位十二階を定めたことにより、装飾品による地位の表現の必要がなくなり
廃れていったと聞いたことがあります。

さて、今回ご紹介する指輪は太古より連綿と続く神道に仕える宮司さんからのオーダーです。
近代西欧文化と日本の伝統とをなんとかうまくミックス出来ないかといろいろと打ち合わせをしました。
その結果使うことになったのは神社のあちこちに見られる雲のデザイン。
f0179073_9475831.jpg
f0179073_9474154.jpg
f0179073_9482492.jpg
ご神体に近いものの装飾も考えたのですが、やはりそれは「畏れ多い」とのことで
建築の装飾につかわれているものになりました。

その時のやり取りの一部をご紹介しましょう (>I様 差し支えがあれば削除しますので)
  ●Design2の雲の彫刻がスッキリしてていいなぁと思います。
拝殿の雲の彫刻も非常に思い入れのあるものですので。

●Design3の内行花紋八葉鏡は神職的には、かなり萌えますが♪。。。
内行花紋八葉鏡はあまりにも神威があるものですので、畏れ多いということがあって(>。<)。

 
●写真を添付しておりますが、リングは、ねじった感じ?みたいにできるでしょうか??この場合はダイヤは爪でとめるんでしょうか?
爪だったら
五方光鏡(当社拝殿の写し鏡)みたいなデザインの爪がいいかなと思います。
五箇所で留めるだけなんですが。




取り寄せたダイヤ数個の中からひとつ選んでいただき
プラチナ地金を曲げて
f0179073_9481799.jpg

ダイヤの「座」を作り
f0179073_9491528.jpg
f0179073_949186.jpg

「腕」と呼ぶリング部分も制作。
f0179073_950471.jpg
f0179073_9521427.jpg
バランスを検討

研磨したものをロウ付けして
f0179073_9504526.jpg

強度を確保する補強も追加して、彫りを入れる準備(彫りは専門の職人さんにお願いします)
f0179073_9525472.jpg

そして出来上がったリングがこちら
f0179073_9533038.jpg
こうやってみると簡単にできたように見えますねぇ。 でも結構気を使った仕事なんですよ 笑)

お相手には内緒のサプライズでした。
サイズが判らないのでおおよそで制作したのですがやはり合わず。 泣)
まあ仕方ないですね。
プレゼント後にサイズ直しをして対応しました。

その後、縁談がまとまったお二人が来店され、結婚指輪のほうも制作依頼していただきました。
出来たリングはこちら。
f0179073_9551495.jpg

女性のご希望でミル打ちという粟粒状の装飾を入れました。
またサイズを変えたダイヤとピンクトルマリンを留めてあります。
男性のほうは婚約指輪で使った雲のデザインを彫りました。

神職という日本的なお仕事の方にも似合う良いリングが出来上がりました。

それにしてもなぜ日本に指輪の文化が残らなかったのか。
もしずっと続いていたら、各時代にどんな指輪が作られていたのか
なんて想像するのも楽しいですね。
[PR]

  by studio_argento | 2013-04-17 10:06 | ブライダル | Comments(0)

<< 5° LMC 春はもうすぐ >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE